このレビューはネタバレを含みます
「受賞歴のある短編ホラー」という触れ込みだったけど、ホラーを前面に押し出したい映画じゃなくて、
どちらかいうとピクサー的なテーマを、ピクサーじゃ描けないほどの負の感情と演出で描いた作品、と言うのが正しいかも。
死んだ目をした男の子が、父親との想い出を美しい記憶に昇華させて、父親の死を受け入れるまでの物語。
子供にとって、どんな意味でも親を失うことの影響は計り知れない。ネグレクトのような親に責任のあるものでも、不可抗力の事故や戦争で亡くなった場合であっても、それは変わらない。
ぽっかり心に穴の開いたような虚無感と、呆然となるほどの喪失感、そして受け入れがたい現実に沸き上がる抑え切れない怒り。その心の闇に生まれる、恐ろしくグロテスクで凶悪な怪物たち。
モンスターの造形が禍々しくていい。ギレルモデルトロ風。
最後に残る余韻が、寂しく、哀しくも美しい。