メタ壱

愛なき森で叫べのメタ壱のレビュー・感想・評価

愛なき森で叫べ(2019年製作の映画)
3.6
実際に起きた事件に着想を得た園子温監督のNetflixオリジナル映画。

登場人物や世界観から現実味を排除し、彼ら彼女らの内面を極端な形で描く事により炙り出される人間の本質。

登場人物の誰もが“普通”ではなく、何か歪なものを抱えたそんな若者たちの中で、一際の異様さと狂気でその存在感を放つ村田。
出会った者の人生をもれなく狂わせる特異点としての存在である彼によって徐々にいざなわれていく狂気の世界は、観る者の精神すら不安定にさせる程の重力を作り出す。

それは園子温監督の独特で容赦のない表現によって脳裏にひどくこびりつく。

とまぁ、なんやかんや言いましたが、一言で言うとヤベェ映画!
グロいしエロいし、なんなら悪い意味で(いい意味で)エモいとも言える気がする怪作!

性と死という対極な様で実は隣合わせだという人間の本質だけでなく、ピュアである事と狂気も実は隣合わせだし、なんならピュアである事はそのままある種の狂気なのかもしれないという怖さをまざまざと見せつけられたような気がします。

もしかしたら村田という存在は、関わる者の中にある願望のようなものを極端な形で引き出し歪める増幅装置の様なものだったのかもしれません。
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