ぐりこ

ガリーボーイのぐりこのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
2.5
この作品に引っかかって3ヶ月半止まってしまった。
ハマらなかったんだよなぁ。おもしろくはない、けどめちゃくちゃつまらなくもない、ちょうど書けなかった。

スラム街に暮らす青年ムラドがラッパーとしてのし上がるサクセスストーリー。
父と母が貧しいながら“底辺からの脱出”を願い苦心して作ったお金で大学に通うムラドだが、本人は意に介さずふわふわ生きている。
ひょんなきっかけでラップコミュニティとラッパーのMCシェールと運命的な出会いを果たしたムラドは、自らラップをすることに夢中になり、ラッパーを目指し、また上昇志向を持つようになる…。


周辺人物の描写はなかなかに強烈だ。
ムラドの恋人は、富裕層の幼なじみのサフィナ。彼女は医者を志しており、親の進める結婚話を密かに壊す計画を立てるなど、強い意志の持ち主。
ムラドに気のある女がいると見るや、喧嘩しにいき、最終的に瓶で殴打する(ここはドン引きした)

ムラドの父親は雇われドライバーで高圧的で、ムラドが大学をサボってラップにのめり込んでいると知ると、「教育が悪い」と母親に手を挙げるような人物。ムラドの越えるべき障害として描かれる。
しかし、息子に現実的な生き方を求める父親の考え方は、インドの貧困層としては十分にリアルだった。


社会的背景や家族関係などが丁寧に描かれた一方で、作品としては、どうにもテンポが悪かったように思う。物語が動き始めるのは、ムラドがラップに目覚めてからなのだが、そこに至るまでの前フリが少し冗長。
その分、スラムの暮らしや貧困層と富裕層の圧倒的な格差はよく描写されている。


【雑感】
・ムラドとサフィナが見える距離で電話で話すシーンが興味深かった。窓から見下ろすサフィナと地下階段から見上げるムラド、象徴的な演出だった。
・カッコつけてるムラドだけど、車盗みまくるし、彼が蒔いた種で家族崩壊してたりするのはどうなのか。
・ラップバトルに阪神のユニフォームが紛れていて笑った。
ぐりこ

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