ゆいはん

最初の晩餐のゆいはんのレビュー・感想・評価

最初の晩餐(2019年製作の映画)
3.5
一家の大黒柱である父の東日登志(永瀬正敏さん)が亡くなり通夜が行われた。通夜のために息子の麟太郎(染谷将太さん)と娘の美也子(戸田恵梨香さん)は実家に帰省し準備を進める。葬儀も終わり食事の時間が訪れたが、料理がキャンセルとなり困惑する美也子。実は料理をキャンセルしたのは母のアキコ(斉藤由貴さん)で、自身が料理を作るためキャンセルしたとのこと。まず出てきたのは目玉焼き。実はこの目玉焼きは父の日登志が子どもたちのために初めて作った料理だった。麟太郎たちに昔の家族の思い出が蘇っていく。

鑑賞目的は戸田恵梨香さん。相変わらずお芝居と思えないほどの自然体なお芝居に惹かれる。特に目のお芝居が魅力的な役者さん。瞬きすらもお芝居をしているのかと思うほど、感情に合わせての瞬きのタイミングがすごくうまい。そして目だけでも伝わる感情や心情。目の動き、目の開き具合など、非の打ち所がない完璧な目のお芝居。目のお芝居ができる人とはまさにこの人のことだろう。

1カットのシーンが多かったのが個人的にすごく気に入った。その1カットで見せる戸田恵梨香さんのお芝居はさすがのものだった。戸田恵梨香さんは不自然な瞬きや目の動きがまったくない。これが1カットの長めのシーンでも観れるのは嬉しかった。

特に終盤にある斉藤由貴さんへ感情を爆発させるシーンは圧巻。あの涙は自然と出ているものだろうし、涙が出てるからこその台詞の言い方もすごく自然体すぎて、芝居くささがまったくない。

物語は家族についていろいろと考えさせられる。麟太郎の台詞にもあった「家族ってなに?」は誰に対しても響くものだし、考えさせられるものではないだろうか。また食事というのにも大きな焦点があてられており、家族との食事というものについても考えさせられる。余談だが劇中に出てくる食事がどれもおいしそうだった。
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