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最初の晩餐のmitzのレビュー・感想・評価

最初の晩餐(2019年製作の映画)
2.0
父親の通夜に振る舞われた手料理から、血のつながらない家族たちの歩みを振り返る作品です。
この手垢のつきまくった「家族とは何か?」というテーマを食生活から抽出する点では独自性があります。連れ子再婚をした2つの家族による局所的な異文化闘争を目玉焼きや味噌汁などの一般的な家庭料理で描写する微笑ましい一面は確かに感じ取ることができます。
しかしこれら全ての事象はキャスティングによって成立させる力業に過ぎず、どれだけ角度を変えても「通夜に家庭料理を食べる」という行為自体の不自然さは最後まで拭えません。そして終盤に明かされる「実は父親は好き嫌いが多かった」というひねりのないエピソードも制作者側の過剰な美談推しが見えてしまい冷めます。
普遍的なテーマを奇妙な演出により、どっち着かずに終えてしまった好例です。最近であれば「幼な子われらに生まれ」や「万引き家族」など同じテーマを扱った良作が多いため、どうしても見劣りは避けられません。
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