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死刑台のエレベーターのavantgardeのレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
4.2
愛人の夫を殺した男が、その逃げ道の途上で、動かなくなったエレベーターの中に閉じ込められる。不動のエレベーターがまるで、巨大な棺桶であるかのような目の錯覚を与え、観る者をジリジリ恐怖に誘う。

ヌーヴェルヴァーグの巨匠、ルイ・マルのこれがデビュー作であるなんてことが信じられないほど、精巧でかつ斬新な作品。
バックにマイルスのトランペットの旋律を奏でるといった試みに大拍手を送りたくなるほど、このブルーな物語の効果としてそれが見事に発揮されている。この監督の素晴らしい冒険心には芸術家としての類まれな天性を感じてやまない。

相手役の俳優のことは忘れしまったが、劇中のジャンヌ・モローの、まるで遥か彼方を呆然見つめるような目の表情だけが心に刻まれる感じになった。
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