mimitakoyaki

アルプススタンドのはしの方のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.1
明らかに低予算で作られてますが、高校野球の応援で甲子園まで来てるのに、野球を一切映さずに、客席の端っこで話す高校生だけをひたすら映しただけというアイディアと、それだけなのにちゃんと胸を打つ物語になってるのがすごいです。
こういうの好きです。

通路もスタンドも全く甲子園と違うので、予選の地方大会かな?とはじめ混乱したし、真夏の設定なのに熱気を感じなかったり、天気や日の傾き方がカットによってバラバラだったりするところが気になったものの、何の繋がりもなく、野球に興味もないし、全員参加だからいてるだけだった子達が、ゆるくつながり始めたかと思うと、自分の中に燻り続けてるものが露わになっていって、拒否や共感を経て、受け入れて前に進んでいくまでになっていくのが見事で、4人の「端っこ」高校生のどの子の気持ちもちゃんと思い当たるところがあり、最後にはなんだか胸に込み上げるものがあって、とても良かったんです。

夢破れたり、どうしても敵わなかったり、自分に限界感じたり、どうしようもなかったり、それで諦めて、キラキラした子達がどこか羨ましいけど、素直に認められずにやっかんだり、自嘲したり、そんなうだうだした気持ちってすごくわかるし、自分の頑張りや小さな成果なんか、誰かに認められたり褒められたり羨ましがられるようなこともなく、注目だってされないけど、それでも一生懸命がんばったり、がんばれなくても誰かを応援したり、モヤモヤ抱えながらもその気持ちに折り合いつけて、「しょーがない」の先に踏み出したり、そんなひとつひとつが人生そのものだと思いました。

そして、スポットライトを浴びて注目される子や、何でも持ってそうで光ってる子にだって、何かしら抱えてるものもあって、どんな子もどんな青春も肯定されるのが良かったです。

優等生の彼女は、友達がいないことが悪いことではないけど、ほんとは欲しかったから、最後は良かったねって思いました。
素敵な青春映画でした。

8
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