映画好きの柴犬

アルプススタンドのはしの方の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

4.0
どうして撮影許可しなかったんだ、甲子園球場💢

 甲子園に出場した野球部の応援のため、アルプススタンドのはしに居合わせた四人。それまで親しくなかった四人が、何かを諦めてきた高校生活の思いを応援にぶつける青春映画の秀作。

 元は、出演者が四人だけの高校演劇ってことで、非常にミニマムな作り。映画化で登場人物を少し増やしているけど、節度のある膨らませかたなのが好印象。特に、高校野球が題材なのにグラウンド側を一切映さないという割り切りは英断。「桐島、部活やめるってよ」の桐島同様、野球部員は四人の会話の中にしか登場しない。それによって、四人が野球部員に対して抱いている思いを先入観なく伝えることに成功してる。

 主要キャストの四人は、舞台版からの続投ということもあるのか、役柄にぴったりあってるし、役を自分のものにしてる感じがあった。メジャーな役者さんじゃないのも、逆に普通ぽくて良い。

 終盤にかけて盛り上がっていく展開は、舞台だと場の一体感で気にならないけど、映画だとちょっとあざとい感じがしちゃったかな。エピローグの後日談も人によって捉え方が分かれそう。でも、「ここは退屈迎えに来て」みたいに、変に現実を突きつけられるよりも、前向きな高揚感がはるかに気持ちよかった。