LEO

アルプススタンドのはしの方のLEOのレビュー・感想・評価

4.0
全国高等学校演劇大会で文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化した作品。
昔から城定監督の作品はそれぞれ同じジャンルの他の作品とは一線を画す素晴らしい作品が多いと思ってファンだったけど、それにしてもあのピンク映画の城定秀夫がこんな青春映画を撮るなんて!

原作はもともと部員4人だけの演劇部のために書いた戯曲で、作者はそこの顧問の先生なんだそうだけど、普段から生徒のことをよく観察している人なんだろうなぁというのがよく伝わってくる。
目の付け所にとてもセンスがあるし、いわゆる“主役になれない子達”への愛情を非常に感じて“端っこの青春”のリアルさがよく描けているなぁ。

さらに秀逸なのは、舞台がアルプススタンドのはしに限定されていて、試合の様子は一切映さないにもかかわらずちゃんと熱戦の模様が伝わってくること。
あの広い球場という設定でありながら“一幕芝居”に近い状態を作り上げているのは、さすが高校演劇部の顧問。
舞台芝居をよくわかっていらっしゃる。

低予算な故に僅か6日間で撮り上げた作品だそうで、どう見ても甲子園球場のアルプススタンドに見えないのは笑えるけど、さすが「どんなジャンルやお題でも傑作に仕上げる映画料理人的な職人監督」と言われてるだけはある。

熱いものがこみ上げて来て、思わず笑顔になれる映画でした。
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