カルダモン

アルプススタンドのはしの方のカルダモンのレビュー・感想・評価

3.5
高校三年生の『すみっコぐらし』的な。なんとなく観始めて、なんとなく観終わってしまった。アルプススタンドって何?聞いたことあるけどよく知らない。調べてみると甲子園球場にある観客席の呼称らしい。へぇ、どこの球場でもあるわけじゃなく甲子園限定なのか。知らんかった。まるで雪山のように白いシャツを着た生徒が観客席を埋め尽くす様子を見て漫画家の岡本一平(岡本太郎の父)がそう表現したとか。洒落てますな。

この映画、野球場が舞台なのに野球の試合は微塵たりとも映さない。カメラは常に観客席の方に向けられており、吹奏楽の応援曲や生徒の声援、バットにボールがヒットする音、などの間接的な描写でしか試合が描かれない。そんな試合をよそに、アルプススタンドの端の方で野球に興味のなさそうな演劇部女子の他愛のない会話のやり取りから物語が始まる。別に面白くもなんともないのになんとなく見てしまう。徐々にクラスメイトや先生との人間関係と距離感が見え始めて、試合は試合で進んでいく。
うーん、一番の問題は野球の試合をやっているように感じなかったところかな。打球を追いかける目線や顔の向きが嘘くさくて引っかかっちゃった。

全然ストーリーと関係ないんだけど、ずーっと強めの風が吹いていて、後ろの木々がざわざわゆさゆさ揺れているのが印象的だった。