高3の夏を思い出した。
自分の高校の野球部が県大会ベスト8に進んだ。
生徒会役員だった私は、学校の代表として一般生徒から羨まれながら平日の県営球場へ向かった。
試合開始の直前、
普段特に話もしないわが校のエースピッチャーに「がんばって！」と握手を求めた。エースは「え！？はあ。」という顔で握手してくれた。少し怪訝な顔で。お前が？みたいな顔で。
エースピッチャーはボロクソに打ちこまれて大敗した。
私はアルプススタンドで応援しながら
「私との握手がなかったらいつもの調子で好投してくれたんじゃないか」と、言いようもない罪悪感でいっぱいだった。
あの時握手なんて求めるんじゃなかったと、今でも思う。
アルプススタンドにはいろんな物語があるのだ。
いい映画だった。
