Nakao

アルプススタンドのはしの方のNakaoのレビュー・感想・評価

4.8
今年ベストを塗り替え。クラシックギター部(笑)というスクールカースト最下層でミジンコのような日々を過ごし、挙げ句の果てには受験を盾に途中退部した俺にとっては致命傷となる一作でした。

あの夏、主人公じゃなかった脇役たちのド直球青春野球映画。ラストの主題歌まで爽やかな、この夏必見の快作です。

野球映画なのにプレーシーンが一切出てこない。タイトル通りアルプススタンドの端の方で繰り広げられる少し苦くて甘酸っぱい青春劇。元々演劇だけあって会話劇が面白い。「進研ゼミかよっ!!」とまさに俺も思ってしまったら案の定、等身大の高校生が作ったからこそセリフが生き生きとしていました。セリフの節々に散りばめられた小粒な伏線もサクッと軽やかに回収していく辺り本当に原作が高校演劇部なのか?とビックリするほど巧いです。城定監督も元々変態的なピンク映画のイメージだったのでいい意味で少し驚き。

時間が短いのでテンポ良く、かつ高校野球特有のカタルシスまで味合わせて貰える贅沢な秀作。すでにキネ旬では特集が組まれるほど注目されていますが、多くの映画ファン、演劇ファンに見つけられたら結構ハネそうな映画でした。
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