加登魁修カドカイシュウ

アルプススタンドのはしの方の加登魁修カドカイシュウのレビュー・感想・評価

5.0
先ずタイトルがにくいねぇ「アルプススタンドのはしの方」
この『はしの方』が良い!!
来ちゃってるんだよねー、はしの方だとしても、アルプススタンドに、何だかんだで!!!!

『アルプススタンドに居ない奴』は、自分がある奴で、もう大人なんだと俺は思う(『桐島、部活やめるってよ』の桐島みたいな奴)

グダグタ言いながらも、はしの方だとしても、来ちゃってる!そこが愛おしいじゃないの(僕も高校時代はそんな端の奴でした)!!

はしの連中は応援もせずにブーたれてるのよね。なんで野球部だけこんなに特別扱いなの!?とか野球部ってだけでもう嫌い!とか・・・分かる!その気持ちは本当ばりばり分かる!!
はしの連中はいっそ劇中の野球部員を応援しないんだけど、そんな彼,彼女らを観ている観客の側は、はしの連中を応援しているという笑
おもしろい映画体験でした


こんなにも打球音が聞こえてこない高校野球に関する映画も珍しいなーと思ったりもした。
打球音はそもそも少ないし、なんなら本来は主役であるべき野球部員たちは、はしの連中に主役を奪われてしまって、スクリーンにその姿を一切見せない。一切見せないんだけど、存在感はバリバリあるのよね


応援歌として流れるブルーハーツのトレイントレイン、この曲の歌詞に「いい奴ばかりじゃないけど 悪い奴ばかりでもない」という一節があるんだけど、あの先生が正にそんな奴でしたね
もっと言うと、ブルーハーツの他の曲で人にやさしくというのがあって、その歌詞は「でっかい声で言ってやる ガンバレって言ってやる 聞こえるかいガンバレ!」なんだよね!これはもうこの映画のテーマそのものって感じ!!
監督は絶対ここら辺を意識して、ブルーハーツ引っ張ってきてるなーと思いました

最後に、いわゆるイケてる側の女の子がドリンクを手渡そうとした時に『マウント取ってんじゃねーよ』とイラついてしまったんですが、そんな彼女がこんなことを言うんです

「頑張ってやってるんだよ」

これはもう目から鱗でしたね!
僕も八方美人な誰にでも挨拶してくるような奴の挨拶は、ガン無視するのがイケてると思ってたんですが、頑張ってしたくもない奴にも挨拶してたんだなーと。反省

アルプススタンドのはしの方の奴らはもちろん、アルプススタンドの真ん中にいる奴ら、グラウンドのはしにいる奴ら、グラウンドの真ん中にいる奴ら、最終的には全員のことが大切で、愛おしくなったなー