ミミック

ホドロフスキーのサイコマジックのミミックのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ホドロフスキーが30年にわたって行っている相談者の個人的な悩みに、アートな行動によって己を解放し救済を求める独自の精神セラピー「サイコマジック」。それのいくつかのケースを実践する様子をカメラに収めたドキュメンタリー。

ホドロフスキーが映画の中でやっている一見するとぶっ飛んだ表現の一つ一つが彼の中ではハッキリとした理論に基づいて表出しているのがわかる。

日常生活にほんの少し非日常要素を加えるだけで、そこがクリエイティブな空間になるだけでなく、やっている本人にとって己を開放しトラウマを塗り替える体験となっている様は見ている者にも強く訴えるものがあるアート作品になりうる。

タロットカードに始まり、心理学や精神分析などあらゆる学問と芸術を学んだホドロフスキーでしかできない療法は、見ようによってはカルト的だが、個人的には演劇のワークショップの発展版のようにも受け取れる。メキシコで行われる死者の日のメイクや装飾も影響があったりするのかな。

名古屋市美術館の展示ブースでは、実際に治療を受けた人々から監督宛に送られるセラピーのプロセスが綴られた手紙が壁一面に貼られており、直筆から伝わる熱量を直に感じられた。そしてもう一つ劇場を借りて観客に向けてホドロフスキーが行った公開セラピーの一部を映像で見た。こちらはよりワークショップに近く観客の一体感をエンタメ的に演出していた。

ホドロフスキーの理解がより深まる入門編のような作品でありました、今までの劇映画の答え合わせなような作品であった。

劇中で紹介されたケースでは、女性の月経の血で自画像を描くパフォーマンスが一番印象に残った。
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