acco224

サヨナラまでの30分のacco224のネタバレレビュー・内容・結末

サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

久保田紗友さんが気になって辿り着き、ここでのレビューが高評価で気になっていた映画。
評判通り。爽やかで、温かく、切なく、そして夏にぴったり。
りんご音楽祭、行ったことはないけど前に好きなバンドが出演していたことがあって、緑の中で素敵なフェスだなぁと思っていた!こんなところで擬似参加できるとは。
音楽がどれも良くて本当に気持ち良いしね。

フェス、とんと行ってないなぁ。あの、高揚感、バンドがキラッキラに輝いて見える、野外フェスならではのあの感じ。メンバーが目を合わせて笑い合って演奏してるのを観るだけで、グッとくるものが…
そんな、あぁー生きてる!!って感じのなかで失われていくアキと、目を開いてバトンを受け取った颯太の、とっても切なくいい演奏シーンだった。
真剣佑くんも本当に歌ってるん?上手じゃない!?

アキと颯太は、30分だけ入れ替わって、初めはそれなりに利害関係があったんだけど、徐々にお互いを尊敬して友情のような関係を築いていく。
颯太が、居場所や、やりたいことや、好きな女の子を見つけていくのを「本当なら自分がいるべき居場所だったのに、自分の彼女だったのに」っていう思いの反面、イキイキしてくる颯太を嬉しそうに見てるアキ…
アキがいい奴なんだよね。最初ウザいかと思ったけど、ちゃんといい人なの。

颯太は入れ替わった後に自分が手にしている居場所に、アキの居場所やカナを横取りしてるかのような罪悪感、かつ自分のアイデンティティが揺らぐような葛藤があり…

カナはアキへの恋しさや後悔をずっと抱えながら、入れ替わってる颯太(中身ほアキ)⇔本人の颯太に少しずつ心を開いてピアノをまた弾き始める。

バンドのメンバーたちが、アキにも、突然現れた颯太にも、立ち直れずにいるカナにも、それぞれをちゃんと真正面から受け入れてくれるいい人たち。

最後の演奏の前に颯太が「アキさんを上書きしましょう」って言うんだけど、きっとこの言葉だけ聞くとアキをずっと知ってた人たち嫌な気持ちになるんじゃないかと思ったの。でもちゃんと松重さんの「(カセットテープは)上書きしても、層のように消えずに残ってる」っていう前振りがあったおかげで、上書きは前にあったものを消して塗り込めてしまうんじゃなくて、思い出を重ね、演奏を重ねていこうっていう意味を持った言葉としてみんなが受け取ることができた。

カセットテープの性質をすごい上手に活かした設定だった。

これはオススメできるなぁ。
フェス、行きたいなぁ。
acco224

acco224