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山中静夫氏の尊厳死のTSのレビュー・感想・評価

山中静夫氏の尊厳死(2019年製作の映画)
2.9
【故郷で最期を】68点
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監督:村橋明朗
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:107分
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2020年劇場鑑賞19本目。
末期癌の主人公山中静夫が、故郷に戻り、そこから近い病院で最期を迎えるという余命系映画。僕は余命系映画にはめっぽう弱いのですが、今作は最後まで泣けず。良い題材なのに、終わってからうーんと思っていました。多分、撮り方が淡々としていたから感動しなかったのでしょうか。。

ただ、やはり考えさせられる点は少なくなかったです。今作の面白いのは、末期癌で最期を迎える主人公の気持ちについてだけでなく、看取り続けた医師の精神面にも触れている点です。山中静夫の入院を快く認めた医師の今井は、何でもかんでも自分でやってしまおうとするため体力的にもきつくなってきますし、なによりも様々な患者の最期を看取ってきたため、うつ病になりがちになってしまいます。これは今井としても葛藤でしょう。人を助けるために医師になったはずなのに、いつしか看取るのが主流となってきてしまっている。また、この山中という人物も非常に誠実な人物であり、彼を死なせたくないのにそれを受け入れなければならないという、人間の無力さも物語られています。
今作の最大のテーマはタイトルにもなってるので言わずもがなですが、尊厳死についてです。消極的安楽死とも言われますが、今作を見て果たして消極的と言えるのか。寿命を伸ばそうとしない、に限定すれば消極的でありますが、山中は強くこれを望んで最期まで今井に頼んでいました。彼の尊厳を守ったということで、もちろん尊厳死と言えますが、消極的安楽死という言い方はやや語弊があるような気もするので、やめてもいいのではないかとも思ったり。

映画的にはかなり淡々としており、もう少し感動要素が欲しかったところ。あまり著名でない役者が揃っていたのはリアリティがあり良かったのですが、だからといって演技が素晴らしいかどうかはまた別問題となってくるでしょう。うまく説明できませんが、どことなく惜しい作品でした。
TS

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