ひす

オリバー・ツイストのひすのネタバレレビュー・内容・結末

オリバー・ツイスト(2005年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

世知辛くてけっこうしんどい。
最後オリバーが、絞首刑待ちのフェイギンに「あなたは優しかった」って言いに行くところで、この話はこのシーンの為にあったのか!!とおもった(違うかもしれんけど)

労働階級は特に余裕がないせいか、
お互いがお互いに警戒心が強い雰囲気?全体的に頭ごなしに否定的?
な空気感の中で主人公も生きていて、
そんな中で素直さを失わないオリバーを見て
「幸せになって!がんばって!そのままでいて!」
みたいな期待をしながら基本は見ているんですが、

でもまあ、オリバーは良いよ、一際かわいいし性格もいいから、心優しいお金持ちに見初められるのはわかるよ、でもそういう「特別な魅力」を持たない普通の人たちが大半なわけで、そういう人たちにはチャンスがなくて報われなくて貧乏なのが当然なのか?
といったらそうでは無い筈だ。という気持ちが個人的にあって、
主人公ズルイってわけじゃないけど、
私は貧しい沢山の群集の方にちょっと感情移入してしまう。
(そのためのオリバーの無口さなのか…?とか勘繰ってみたり。)

で、
フェイギンは子供を利用して生きているわけだけど、
普通に穏やかで優しい物腰だったし(少なくとも主人公にとっては)
オリバーが彼に心身ともピンチを救ってもらったのは事実だと思う。

だから最後、
オリバーが彼と一緒にお祈りをしようと「神様この人を許してあげて」って言った時、
そうだよフェイギンそこまで悪党じゃないよ、
彼に、他人に対する敬意があったとまでは言わないけど、この映画全体に漂う価値観というか、ほかの大半の大人たちの「こいつは馬鹿に決まってる」とか「お前の母親はどうせあばずれ」とか「助かりたくて仮病を使ってるにきまってる」とか、相手を決めつけるような事を言わないだけ、人との関わり方が結構まっとうだったと思う。
(実際どういう人間かは主人公には関係ないし)

何も持たず貧しくてコソ泥で生計を立てるという立場から、
足を洗えたオリバーがそれを言うことに意味があると感じた。


あと、犬がおりこうでエラいぞ~と思った。
ひす

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