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飄々 拝啓、大塚康生様のmanamiのレビュー・感想・評価

飄々 拝啓、大塚康生様(2015年製作の映画)
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『なつぞら』で麒麟・川島さんが演じてた下山克己のモデルである、大塚康生氏のドキュメンタリー。日本のアニメーション黎明期に数々の作品で作画を担った方だそう。
冒頭、『白蛇伝』に『太陽の王子ホルスの大冒険』そして『ルパン三世カリオストロの城』など、彼の手がけた作品たちの映像が紹介がてら映し出され、何よりもその功績を物語る。
さらに彼について語るべく登場するのは『アルプスの少女ハイジ』などの小田部羊一、『千夜一夜物語』などの月岡貞夫、『ムーミン』などのおおすみ正秋、そして説明するまでもない高畑勲等々、そうそうたる面々。
「動きを描いて見せた」大塚氏におおすみ氏が魅了されたというエピソード、それから『ルパン三世』ではリラックスしたポーズに力を入れたという裏話が特に興味深い。「動きを撮る」ことに取り憑かれたような半生が感じられる。
とにかくずっとご本人やゆかりの人々へのインタビュー映像が続き、そこにアーカイブ的アニメーションが時々挟み込まれる。とりたてて感動的な演出もない。メインと言えるようなエピソードもない。さらにはご本人の発する言葉がとにかく不明瞭、まあ齢80を過ぎてるそうだから無理もないね。
でも、こんなにモニョモニョした話し方になっても、おおすみ氏曰く「死の気配を感じる」歳になってもなお、こんなに語れるほどアニメーションへの情熱をたぎらせているのは素晴らしいの一言だわ。
最初に「大塚康生のドキュメンタリー」と書いたけど、観賞後に見えてくるのは「大塚康生がアニメーションの礎を築いた時代のドキュメンタリー」の姿。

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