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ソワレのsakiのレビュー・感想・評価

ソワレ(2020年製作の映画)
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久しぶりに映画のDVDを買った。
和歌山の景色がとても美しかったし、あの海辺に佇んでみたいと思った。

安珍清姫伝説が下地になっているのだけど、この伝説でいつも気になっていたのは、なんで清姫は会ったばかりの男(安珍)を追いかけて焼き殺してしまうほど執着したのか…
"妄執は身を滅ぼす"という仏教の説法にするために分かりやすい話に改変されてしまったんじゃないか…ということ。

本当は清姫は純粋に愛を乞うていただけかもしれないし、諦めて帰ればいいものを元いた村には戻れない事情があって"すすむも地獄・もどるも地獄"だったのかもしれない。
安珍は清姫が嫌で逃げたのではなくて、破戒僧になりかけた自分が恐ろしくて逃げ続けたのかもしれない、とか。
そう考えると翔太とタカラに被るところがある。

本当のところは当事者にしかわからないことばかりで、現実にニュースとして流れるときは平たい分かりやすい醜聞にされちゃうんだろうなぁ。
そういう小さい物語を垣間見させてハッとさせてくれる映画が好きだ。

翔太とタカラがこの先会えても会えなくても、確かに信じられるものとしてお互いの中にずっと残るのではないかと思う。
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