とむ

ソワレのとむのレビュー・感想・評価

ソワレ(2020年製作の映画)
3.5
Filmarks試写にて。


ヒリヒリするような無軌道な若者の逃避行。言っちゃえばよくあるやつ。

見てる最中はドキドキもハラハラもするし、主演二人に概ね良い意味でイライラしたりもする。
あと他の皆さんが言ってる様に、初っ端から映像がめちゃくちゃ良いです。それに見入りました。

何気なく取り入れられた影での遊び表現とかも「どうやって撮ってるんだろう」と、
見る者を惹き付ける魅力は確かにある作品だと思いました。


ただ、見終わってから12時間ほど経ってこのレビューを書いてますが、
正直思い出せることが少ない。
言っちゃえば、話が印象に残らない感じでした。ちょっと残念。


あらすじだけ聞いたらまるで「悪人」。
二人が逃避行するきっかけはまるで「白夜行」。
夏のジリジリした田舎の風景はまるで「共喰い」。
信頼してた人に裏切られる展開は…なんだっけ、覚えてないけど、全体的に「よくある話だなぁ」と言うのが正直な感想でした。

あとは最後の「ネタバラシ」的なひと展開は別になくてもよかったかなぁ。
こういう逃避行の話とか、今作は違うけど実録犯罪モノとかって、如何に犯罪者側に視点を近づけるか(寄り添うか)が肝になるテーマだと思うんだけど、
アレがあると「彼らだけ」のちょっと特別な話になっちゃう気がしました。
今作においてはそれが良いのかも知んないけど。


ただ、村上虹郎のこの実在感というか、
「ホントに居そ〜」感がめちゃくちゃこの映画にマッチしてる気がしましたね。
パッとしない演劇役者って立ち位置もまた良い。

車での一件の後の「そんなつもりちゃうやん…ごめんて…」の感じとか、
海辺でけしかける喧嘩の些細なきっかけとか、そう言う意味での実在感はしっかりある映画でした。

実在感といえばアレね。
ヒロインの父親役の彼…嫌だわ〜笑


散々文句言いつつアレですが、
郊外の景色を移しつつ、逃げ道なき道を進んでいくあの風景とかはめっちゃ好きなんすよね。
そもそも主人公もヒロインも、
最初から一辺倒に正しい生き方をしてる訳じゃないしね。
それが観た側にじんわり響く感じでした。
時間が経ったらもう一回観たいな。


「子供の隠れんぼみたいなもんでしょ
本気で逃げてくれたらよっぽど早く見つかるのになぁ」って台詞が妙に納得度が高くて、印象に残った。
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