NaitoMami

SEOBOK/ソボクのNaitoMamiのレビュー・感想・評価

SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)
3.8
命に終わりがあるから怖いと感じるのは「死」で、終わりがあると知っているから安心できるのは「眠り」。
でも「朝になれば眠りから醒めると、どうして分かるの?」という問いに対して、「ただ、そう信じているから」という答えが象徴的。私も時々、このまま目覚めなかったらと、ふと怖くなることがある。でも、きっと何事もなく然るべき時間がくれば目覚めるって、経験的に、希望的観測に基づいて睡魔に抗わない。
死に対しても、信じられる何かがあれば恐怖や不安や抵抗が薄れたり、消えたりするのかな。

クローンをテーマにした作品ということで『わたしを離さないで』に近いのかと予想していたけど、後半になるにつれて、スピルバーグの 『AI 』のことを思い出していた。
愛される権利。夢見る自由。どちらも本来なら誰かにオーソライズされる必要もないものだけれど。

「何かになりたい」という切ない望み。
それは非人称の複数のために役立つのではなくて、特別な誰かのための存在でありたいということだと私は感じました。
人なのか、そうではないのか、という区別ではなく、動物や植物もふくめてどんな対象であっても、「it」と非人称で捉えないことが様々な問題の出発点になるのではないかなと。
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