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グレート・ハック SNS史上最悪のスキャンダルのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.7
イギリスの<ケンブリッジ・アナリティカ>という政治コンサルティング会社が、2016年のアメリカ大統領選挙時にFacebookからゲットした情報を分析して、選挙民の気持ちを変える情報をタイムラインに効果的に流し、トランプ大統領を勝利に導いていたかもしれない、というドキュメンタリー。
このドキュメンタリーは、3人の視点から描かれていく。
利用者のデータを収益化するFacebookなどのSNSを運営する企業などから、個人のデータを保全する「データ権」を提唱するニューヨークの准教授デイヴィッド・キャロル。
ケンブリッジ・アナリティカに勤務し、Facebookにある個人データから心理傾向を分析しトランプに投票するよう誘導する広告戦略や情報戦略をするプラットフォームを構築する役割をして、後にケンブリッジ・アナリティカがFacebookの個人情報を悪用した犯罪を告発したリンダ・カイザー。
Facebookの個人情報を利用したニセ情報やプロパガンダへの対抗することを提唱する、イギリスの新聞ガーディアンなどに寄稿するジャーナリストのキャロル・キャドワラダー。
イギリスの政治コンサルタント会社ケンブリッジ・アナリティカが、Facebookなどから個人データを情報漏洩させ、個人データを分析してアメリカの有権者の心理的傾向を読み取り、有権者の恐怖や怒りを煽る広告戦略やニセ情報をSNSに流すなどの情報戦略でトランプに投票するように誘導したことが、ガーディアンなどに記事を寄稿しているキャロル・キャドワラダーなどの調査とケンブリッジ・アナリティカに勤務していたリンダ・カイザーの告発により明らかになった。
ただし、このようなSNSなどにある個人情報を使った情報戦略や広告戦略により企業が収益を上げるハウツーは、SNSだけでなくネットショッピングのサイトなどで自分の買い物傾向に基づいてオススメ商品が紹介されたり、YouTubeの広告も視聴者のデータに基づきランダムに流されていたり、企業による個人データの収益化は極まっている。
アメリカ軍の情報部は、中東で若者向けに「アルカイダに入らないように」しむける広告戦略をしていたり、ケンブリッジ・アナリティカはアフリカなどでもトランプと同じようなハウツーで都合の良い候補者を勝たせる情報戦略を成功させてきた。
SNSなどに投稿したり、どの投稿に「良いね」したかなどの個人データは、企業の管理下にあるので、アップルなどのように企業が個人情報を利用するかどうかを許可したり個人情報の保護についての権利を人権の一部に加える法整備などが必要だし、SNSなどでいわゆる「バズっている」ハッシュタグやアイテムなどに安易に乗らないように情報戦略に操作されないように気をつけたいと思える戦慄のドキュメンタリー映画。
「君たちの中で、盗聴されているとしか思えない広告を見たことはあるかい?」
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