サマルカンドサイトウ

アメリカン・ファクトリーのサマルカンドサイトウのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ自動車産業の内幕に迫るドキュメンタリー。
舞台は自動車用のガラス製造工場。
中国資本に買収された工場には、ワンマン社長のもとで、さまざまな指示が出る。
中国人とアメリカ人が共に働く環境は、お互いの文化、労働、はたまた民主主義観念の相違が現れる。
管理か自主か。効率か安全か。
最初は企業文化、例えば朝礼の点呼などに違和感を覚えたアメリカ人も環境配慮、安全配慮が足りないと徐々に中国企業の倫理観に反発するように
他方、労働組合結成で効率が下がり損失がでるとする中国人。アメリカ人は怠惰で自信過剰で自分たちの方が優れていると主張する。
お互いを他者と認識し始めると、やがて、世間を巻き込み、労働組合結成のムーブメントが起こる。それに対するネガキャン。

行き着く先は、「替えはいくらでもいる」
大量解雇のすえには機械化だった。

それは、ラストベルトの労働者たち(アメリカ人)だけではない、工場で働く中国人も同じこと。
意見や立場こそ違えど、自分には替えがいる。特別ではない。そんな思いを抱く人々は何にすがればいいだろう。