crush

少年の君のcrushのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.1
オンライン試写会にて鑑賞させて頂きました✨ありがとうございました。
私にとって初めての中国映画でした。

作品の持つメッセージ
俳優の皆さんの熱演
映像描写
カット
構成
それぞれがとても綿密に組まれており、
強く引き込まれ、考えさせられました。

実際の高校生活が映画で描かれた通りなのかは分かりません。しかし、少なくともどこの国、地域でも起きている、そして起こりうるのがいじめです。
映画では特に中学高校という思春期に生じる学校での人間関係、いじめ、家庭環境の問題などが丁寧に描かれていました。

観ていて感じた疑問に次のものがあります。
生徒はどんな思いで学校に通っていたのか。他者がいじめを受けていることをどう感じていたのか。生徒はなぜいじめについて聞かれても口を閉ざしたのか。
たとえ助けたいという思いがあっても、次に自分がいじめの対象になるのではという不安や恐怖がそれを止めているように感じました。また、いじめになるべく関わらず、無関心でいた方が良いという判断から周囲に目を向けようともしない生徒もいたと思います。

そしてもう一点、学校側はなぜいじめがあることを知りながらそれを放置していたのか。何が対応できたのではないか。
結局何かが起きてからでないと行動を起こすことはできないのでしょうか。
作中には、いじめの責任は誰にあるのか、その証拠をどう探し出すかという部分も出てきますが、たかが子供のいじめ、では済まされない問題だと思います。
精神的な孤立や身体の痛み、誰も助けてくれない残酷さ、誰にも相談できない、相談しにくい状況。死を選択する人もいます。いじめを受けた生徒の将来への影響も大いにあります。

自分があの教室にいたら、いじめる側、いじめられる側、見て見ぬふりをする側、どの立場にたっていただろう。どんな行動を取っただろう。苦しみの中にある人に手を差し伸べることはできただろうか。

この映画を観た人の心に、何か残るものが有ればと思います。
crush

crush