TERUTERU

少年の君のTERUTERUのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.2

[ Better Days / 少年的你 / 少年の君 ]

惹かれ合うのは守るゆえに愛なのか、
人間の本能だからその手は動く、
無関心は人を傷つける暴力であることを。


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あなたの今日の1本にささりますように、レビューをどうぞ。。。

中国、香港合作映画。アジア映画からまたしても素晴らしき映画が前回の第93回アカデミー賞で国際長編映画賞にてノミネート🏆

『少年の君』 米名タイトルで『 Better Days 』

中国の実態を映し出されたいじめ問題に苛烈な受験戦争、ストリートチルドレンなどの過酷な社会問題を描く今作。またその過酷差から生まれる恋愛ドラマが心に痛く染みわたります。もっともメインに映し出されるのは「いじめ」です。なにがきっかけで始まるか、なぜ人の弱味に漬け込み利用しようとするのか、胸糞悪いほどよく演じ描かれています。次のいじめのターゲットになった時の瞬間が恐ろしく感じました。なにせ悪い事はしてない、善良な気持ちを踏みにじられる感覚が後悔と怒りを沸騰させる。間違いなんて犯してない正しい自分を疑うのがこれほど辛いものなのか。自分が無関心になれば良かったのか。

そしてもう1人の主人公、ストリートに生きる不良少年との出会いは最悪な場面ではあるがそっと見と届けてあげたくなるほど青春きっての最高の出だしなのだろう。優等生の彼女と不良少年の出会いがこの物語を繋ぐ涙のキーパーソン。小さな希望を灯す光は何人たりとも絶やせない、2人だけの信頼は善良の塊りである「愛」そのものなのだろう。


すこしネタバレになるのでここは出来れば見た後にでももう一度読んで頂けると幸いです🙇‍♂️


 この映画は過去の思い出を物語っているのはお気づきではありましたか?
冒頭に登場する主人公の少女「チェン・ニェン」は先生であって授業するシーンから物語は始まる。しばらくするとチェンが受験を迎える学生時の話が始まる。そして映画最後にはまた冒頭の先生のシーンへ戻るのは完全に今まで過去を物語っていたことになる。その時、過去の話に入るまでは一切も子供の頃の話はせず、授業をスピーチしている。過去が始まるまで何の余談もない。ただ1人の少女を見つめて過去へ介入していく。
ここで大切なことは、過去でいじめられていた、いじめって良くない!という事や、勇敢で優しい少年に出会った、そんな人も存在するんだ。それも大切なのだがこの物語で1番これが大切だったんだとも思う。

「彼女にとってかけがえのない大切な学生時代の青春の思い出」

 きっと嫌な思い出だが消えて欲しくない宝箱にそっとしまっておきたい大切な記憶。いじめられて悲しかった、でも彼と出会って支えてくれた。壮絶な地獄の様な日々だったが、そこには小さな幸せがあった。もう戻れない時間、離れ離れになり今どうしているかわからない。あの時間は戻ってこない。あの時の少年の君に会いたい。
 この物語はいじめを無くす前提なテーマの映画なのでいじめが良かったとは言えない。だが私個人の知人にこう言う話は聞いている。「いじめがなかったら今の自分はいない、自分も向こう側の存在だったかもしれない」と。その人ももういじめは会いたくないがその時に支えてくれた人たちはいて今でも感謝していると。その時支えてくれ好きになった異性の相手は卒業以来出会えてないらしい。もしあの時に戻れるならその人に「ありがとう」と伝えたいらしい。
 無くなるべきいじめ問題だが、個人的には難しい。軽度と重度ってのもあるし、もちろん悪いのは認識している。だが全てを否定しても無くならないことだってある。無くならないのであればいかにどう和らげるかが重要。物事の本質を見抜きつつ私たちは支えていくべきなのだと。若い少年少女の自由を縛っても解決にはならないのだと私は思う。
もしかすると成長した彼らにとって「良い思いでだった」と笑って答えてくれる人がいると私は嬉しい。


『 Better days 』 意味は『 良い時、昔はよかった 』


2021/№029
TERUTERU

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