Kawaguchi

少年の君のKawaguchiのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
3.8
大前提として、中国で優れた映画や音楽、アートを作ることはかなり困難です。ご存知の通り、それは共産党や国や政策を批判することはタブーだからです。すべて検閲され、表現の幅は狭まってしまいます。時に、レンハンなど、優れたアーティストは自ら命を断ちました。本作で描かれる「街中にある監視カメラ」は全体主義的な抑圧された監視社会を想起させます。
うまいですね。

私は「この世界の片隅に」を思い出しました。
「この世界の片隅に」は、第二次世界大戦によって、その時代の特別ではない人でさえ壊れていくことで、戦争の危うさを感じ取ってしまう内容でしたが、

本作では、「熾烈な受験戦争」と「過激化するいじめ」「格差社会」を通し、どこにでもいる普通の10代の男女が変わってしまう過程を丁寧に描いています。いつでも、環境によって人は変えられてしまうんです。

テーマは痛く重いですが、光を求めて惹かれていく2人を中心に、純粋な青春映画に仕上げてしまった主演のふたり、チョウ・ドンユイ(「僕らの先にある道」でも良い演技してましたね。)とイー・ヤンチェンシーの功績は大きいですね。ふたりから目が離せません。はちゃめちゃに面白いです。心を鷲掴みにされました。
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