ボギーパパ

少年の君のボギーパパのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.2
劇場2021-46 武蔵野館

久しぶり、5年ぶりかな武蔵野館での鑑賞。ここの雰囲気やはり良いですね。ずいぶん綺麗になりましたね。作品に対する愛情を感じる映画館の一つ。また、本日はサービスデーだったので朝早くから結構な入り。夏休み集中インプット②

そして香港、中国映画もかなり久しぶりの鑑賞。

『少年の君』このタイトルの持つ意味はなんだろう。深く考えさせられる。どうやら東野圭吾氏の『白夜行』『容疑者xの献身』パクリ疑惑が取り沙汰されているようだがちょっと置いといて、、、

さて、本作の中心にあるのは「いじめ」の問題。万国共通との事だが、確かに先進国では間違いのない所であろう。殊、本作においては科挙の歴史を持つかの国の激烈な競争社会が背景にあり、さもありなんと思う。

そこに冒頭の悲劇が起こる。この悲劇に対し主人公チェンはある行動に出る。そこから今度は本人に悲劇が乗り移る。

ここを観て思ったのが先日鑑賞した『Promissig young woman』。被害者に心の傷を与えるのは直接的な加害者だけでなく「傍観」決め込んでいる間接的加害者も居るということ。大多数は直接加害していないが罪深い存在だと感じ、私の中でこの2作が繋がってしまった。
チェンは過酷な競争の中、直・間接的に傷つけられる対象となる。

そして彼女はこの「いじめ」の問題の裏にある家族の問題であったり、社会的な環境であったり縛られてもいる。この呪縛から這いあがろうとする、抜け出そうとする強い信念をも持っているものの、、、

そしてもう一人の主人公シャオとの出会いで物語は展開する。衝撃的な出会いから、ぎこちない交流に、そして事件のたびに心通わせる二人の姿がとても美しい。最初は子供子どもしていたチェンがどんどん美しく、シャオは温かみ慈しみを湛え、二人は哀しく切なく美しくなっていく。あの無言の面会シーンはたまんない!この撮り方は唸るものがあった。映像がソリッドな分だけここは際立つ。

脇を固める3人の刑事もそれぞれの味があり、ストーリーに箍をはめてシェイプアップしている。またチェンの母親の存在、思いもストーリーに厚みをつける。複雑な味つけだと、ある意味感心した。

確かにテイストとして盗作?疑惑が上がるのもわからなくもないが、そこを除けばとても美しい映画であり、心に刺さる作品であった。2時間オーバーながらも時間は全く感じさせない秀逸な作品。自分的今年ベスト級!

まだまだ備忘録的に書き足していきたい。
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