友二朗

少年の君の友二朗のレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.6
『君は空を飛びたい』

『We are all in the gutter,
 but some of us are
 looking at the stars.』

"守る"の意味。
高考(ガオカオ)まで残り60日。
全てを体験したあの灰暗き青春。

ラスト、ガラス越しのアイコンタクトシーンは奇跡だ。奇跡を見せられているのだ。その笑顔。その涙。その息全てに心を握られる。自分も破裂しそうな何かを抱えさせられる。

人生で観た映画で最もキスシーンの意味が重い作品。今まで観てきたキスシーンは一体なんだったのか。これが映画。

チェン・ニェン/チョウ・ドンユイ
彼女の唯一無二感。彼女が俳優の道に存在し、また彼女が評価されているこの世界ってちゃんと凄いなと思える。込み上げてくる悔しさ、涙。本当にそこに生きているとしか思えない演技。

先生になった彼女の演技、その年齢の差の表現がやばい。なんじゃこりゃ。

「夜明けは目前よ」
涙も鼻水も流しながら電話するチェン。
この母親との会話シーンぐっちゃぐゃな感情になった。

冒頭フーに起きた悲劇の説明でイアホンを付けてから始まる演出に感動した。

初めてBGMに歌詞が付く瞬間。
その青きダイジェストに鳥肌が立つ。
このまま終われば良いのにと願った。

いじめっ子3人組のキャラデザインが流石に露骨であんまり好きくなかったけど、なるほどそうゆう展開に。納得したしただの啓発では終わらせないという熱意が伝わってきた。

ネズミ持って復讐しに来るシーンの演出は少しやりすぎで意識が他のとこにズレてしまった。

現実に起きているいじめに関して、こんなに派手になることは珍しいと思うが正直もっと陰湿でほとんど気付けない。というか気付こうか迷うラインの禍々しさを帯びている。もっと複雑で、もっと悲しく、もっと相互的な要素を含んでいる。それを表立って画面に叩きつける選択としてはこの派手さで良かった部分もある。

無関心より残酷なものはない。
見て見ぬふりかが最も楽で最も利己的だ。
それと同時に行動するのが最も難しい。

一瞬の隙を突かれたリンチ。
ここまじでしんどかった。

リーダー格のウェイ・ライ
この役の全く笑ってない笑顔の表現が凄まじい。根っから歪み切った人間。親を見て納得してしまった自分に少し嫌悪感が湧いた。彼女すら救う道は自分には分からない。

再受験コース(浪人コース)がもはや高校のカリキュラムにあるのに衝撃を受けた。

シャオベイ前髪下ろした時かっこいい。

よく「俺がお前を守るから」とか言うやつがいるがあれはちゃんと意味を考えた方が良い。この作品は物理的、直接的すぎるけど"守る"とはどうゆう事か。"助ける"ではない。途方もなく難しいことだと理解した。

クライマックス供述シーン。
ここの編集凄まじいし、台詞もぶっ刺さるものがゴロゴロ出てきて感情が追いつかなかった。頭にこびりつくシーン。

バイクで2人乗りしたくなる。

二股に別れる道路。
離れていても近くにいる。

エンドロールの写真良すぎ。

いじめは世界的な現象であり、我々の身近に起こっている。学校だけの問題ではない。全ての場にそれはある。自分も見ている。自分も動ける。自分も助けられる。自分も守れる。

どう生きるのか。

読んでくれてありがとう。

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「used to be」

《昔は遊び場だったのに》

「ここで友達は必要ない」

「ダメな母親だけどアンタは頑張って。
 大学を出れば這い上がれる。苦労かけるね」
この台詞、もはやこの母親の持つ将来の展望はチェンに思い切り寄りかかっている。

「金を払えば俺が守ってやる」
「自分さえ守れないくせに」

「学校の事件だとなめてかかるな。
 責任問題はさらに厄介だ。
 校長に尋ねれば担任だと言う。
 担任に尋ねれば生徒の親だと。
 だが親は出稼ぎで年に一度しか
 家に戻らない。誰に責任が?」

「道に影が差しても
 顔を上げれば光が見える」
意外と親身な担任。
娘の停学処分に狂う親。

「大人になるための勉強はしたことない」

「大人になるのは川に飛び込むようなものだ。
 目を閉じて川に飛び込めば
 川底の砂や貝殻に当たる。
 それが成長だ」

"シャオベイに一つ借り"

「栄光をこの手で」

「なんで今度は私?
 逆らったことないのに」
この言葉が体現してる。

「痛い?なんて初めて聞かれた」

「止めろ!」
「じゃあ全員殺して!」
このシーンには息が止まった。

「何故黙ってた?」
「受験の直前だから」

「俺には何もないが好きな子がいる。
 幸せになって欲しい。
 君が幸せになれば負けずに済む」
負けずに済む、ってこれ凄い台詞。

『命が大事なら黙ってろ』

「何がしたい?」
「勉強して受験して良い大学へ。
 賢い大人になって答えを見つける。
 もしできるなら世界を守りたい」
「できるのか?」
「やってみたい」
「決まりだ。君は世界を守れ。
 俺は君を守る」

「普通は復讐するの?
 私は受験だけを考えて耐えてきた。
 間違ってる?復讐が当然の世界なら
 安心して子供を産める?」

「誰かのために犠牲になったとしても
 その誰かは耐えられるの?」

「私は誰を地獄へ落としたの?」
「俺が誰の犠牲に?」
「それに耐えられない誰かって?」
「皆私を助けたいって言うけれど
 誰か助けてくれた?」
「俺が彼女を助けた?」
ここほんま凄い。

「どうしたの?」
「人に見られる」
「気にしない」
「世間は違う。歩いてろ。
 必ず後ろにいる」
「後ろで何を?」
「別に」

「20年後の自分へ」

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⚠️ネタバレ⚠️



「嘘だ。判決は出てない。
 だが数十年は刑務所だ。
 君なら数年で済む。よく考えろ」

そんな嫌な事言う?って頭ゴッチャゴチャなったけどよく分からん。何がいいんだろう。
友二朗

友二朗