ハヤシ

スーパー30 アーナンド先生の教室のハヤシのレビュー・感想・評価

4.0
本作のモデルとなったアーナンド先生(アーナンド・クマール)が来日しており、一鑑賞者として同じ日にち同じ時間にシアターで鑑賞されていた。上映後は全員で拍手。すごくいい。

インド映画における無理な設定や過剰な演出、「それはないだろ」という脚色にはあえて突っ込まない。そういうものとして鑑賞する。

実話をベースとしているが、その実話そのものがすごい。想像を絶する貧困と、底辺から這い上がるための血眼の努力は、現実のインドに存在したし今も存在する。

アーナンド先生(アーナンド・クマール)はそもそも実在の人物だし、行き方は大体本編の通り。ケンブリッジ大学に金銭的事情で進学できず、進学塾で才能を発揮しつつもただ自分が金銭的に豊かになるだけの生き方に不満を感じ、才能ある子どもたち向けに無料塾を立ち上げるのも事実。マジで地元のギャングから襲撃も受けている。
実際に30人中30人全員がIITに合格した年もある。
ヤバすぎるだろ!

『パッドマン』しかり、インド人の一部は日本人が信じられないくらいギバーで、自分や家族の金銭的豊かさよりも地域や国民全員の豊かさのため金も時間も投げ出す人間が存在する。
あとはノブレス・オブリージュも確かに存在する。自分もインド勤務時、デリーのカフェでIITデリー校卒のエンジニアと会話する機会があったが「お金には興味がない、ただこの国のためになることがしたい」と言っていて感銘を受けた。

日本はどいつもこいつも中流意識を持っていることが逆効果になっているんだけど、果たして東大卒の人間でノブレス・オブリージュを実践できる人間が何人いるのか…
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