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ゾンビ-日本初公開復元版-のhorahukiのレビュー・感想・評価

ゾンビ-日本初公開復元版-(1979年製作の映画)
3.9
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が未公開の日本では前置きなくパンデミック後からスタートする本作に観客がついていけないっていう判断で、公開される際にゾンビ発生原因をテキトーにヘラルドが創作したらしい本バージョン。

てっきり当時のフィルムを手直ししたものかと思いきや、フィルムが現存していなくてあの手この手で情報収集して再現したバージョンらしい。しかも字幕の再現にあたって、当時劇場で字幕をメモってた方にアプローチしたりとか、今回のプロジェクトメンバーたちの情熱に感服いたしました。凄過ぎ!

基本的にはアルジェント監修版とほぼ同じなんだけど、慣れてる字幕と全く違うから印象が全然違ってて新鮮な気持ちで見れた。すりあわせてはないけど、ニュアンス違うよね?ってなるところが結構多くて、字幕の文言って大事やなって思ったし、やっぱり原文で理解しないとダメなんかもな〜っていう映画鑑賞におけるハードルの高さも思い知らされた感じ。

惑星爆発とテロップは情報としては宣伝されまくってたから、いきなり爆発から始まることに違和感はなかったし、古臭い和製SFの雰囲気がプラスされてて割と好きかも。そんでそれよりもグロ描写の時にほぼ必ず寸前で静止画処理されるのがなんか面白くて笑った。切断も寸止め、ぶっ刺しも寸止め。この後に肉が剥がれるなっていう先入観持って見てるからめちゃ違和感だったけど、これが日本で長い間『ゾンビ』という作品の共通認識だったんだなって思うと面白い!

ラストのぶつ切りは全く知らなかったんで、アレ?ってなって劇場が何かミスったんかなってなったけど、そこ含めて当時の観客の印象にこびりついたんだなって思うと、ヘラルドの戦略は成功やったんやな〜思いますわね。アルジェント版のラストシーンがどんなのか知ってるからそんなに違和感なかったけど、いきなり劇場でコレ見たら「え?ここで終わり?」ってなっちゃうだろうし、そのあたり含めて忘れられない作品になったんだろうな〜って思った。今だとこんなの考えられないけどね笑
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