すずす

あめりか祭のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

あめりか祭(1933年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

アイオワ州の田舎の(畜産)品評会(原題「State Fair」で邦題「アメリカ祭」)での家族の地味な物語は、沈滞していたフォックス映画社が放った起死回生のヒット作となりました。

『乗合馬車』『拳銃王』の名匠ヘンリーキング監督で、アカデミー作品賞候補ともなり、映画史に名を残しています。

農家のフレイク家は四人家族、父エイベル(ウィル・ロジャース)、妻メリッサ(ルイズ・ドレッサー)、息子ウェイン(ノーマン・フォスター)、娘マージー(ジャネット・ゲイナー)で仲良く暮らしている。父エイベルは、養豚に励み、秋の品評会でトップを狙っている。その妻メリッサはご自慢の、ひき肉料理とピクルスを出品するため、味付けに苦慮している。息子ウェインは、昨年、輪投げで8ドルも取られたため、雪辱に燃え、納屋の中で輪投げの猛練習だ。恋人からの電話にも見向きのしない。一人娘マージーには竹馬の友ハリーはいて、マージーに夢中だがマージーには物足りなかった。
品評会にトラックで向かう四人。品評会会場は、曲芸やサーカス、お祭りの屋台が立ち並び、大賑わいだ。
ウェインは、輪投げ屋台で雪辱を果たすが、店主と揉めた時、エミリーが仲立ちに入る。エミリーはサーカスの曲芸師で、ウェインは彼女にぞっこん。一方、マージーも、ジェットコースターに乗り合わせた新聞記者パットに惹かれる。二人で遊園地を愉しむ。品評会では、母の料理が総合優勝し、父エイベルの豚も優勝し、老夫婦は大喜び。
品評会最後の夜、ウェインとエミリーはお別れ、一方パットと別れたくない娘マージーはキスを交わすも…。
故郷の農場で、元気がなかったマージーだが、パットから電話。マージーは雨の中、彼の車へ向かって家を飛び出すのだった。

ヒットの要因は、先ずは、大掛かりな撮影。この年一番のフォックスの大作として、長期間の撮影が敢行されています。次に、2大スター、父親を演じた西部劇スターのウィル・ロジャース、そして第一回オスカー女優賞のジャネット・ゲイナー。
しかし、最も大きかったのは珍しい農家の話が地方の観客の支持を得た事とされています。今観ても、のほほんとしたムードには癒しがあり、遊園地の愉しさ、若い男女のロマンスと愉しさに溢れています。
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