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オフィーリア 奪われた王国のoden8のレビュー・感想・評価

3.4
ノン文学男子の僕ですら。耳にすると何故だか胸が騒ぐ気がする。シェイクスピア。彼の紡ぐ物語に欠かすことのできないもの。"愛"。

男を惑わすモノ。女性と権力。それは大昔からDNAに組み込まれているか如く、抗えない。古い物語の結末が変わることがない様に。それらに狂った者の結末は現実世界でも往々にして決まっている。
これは、完全に男目線でしかないけど。女性と権力に狂わせられているのか、自ら勇んで狂っているのか。同じ男の僕から観ても愚かなり。と、感じている僕ですら狂うのやから。ホンマに救い様がない。

ハムレットも然り。シェイクスピアが描く人は、愛や身分に狂わせられている。だからなのかな。まるで、大昔版の昼ドラを観ているかの様な感覚に陥るのですよね。そこには、人間臭さが。下品な付け方をされた香水の様に、鼻をつくのですよ。本来、綺麗に飾り付けられた美しいセリフ。それを放つ人に品がなければ、ただの嫌味になってしまう。 
それでも、観ている僕を酔わせてくれるのだから。言葉の紡ぎ方の魔力って凄いよねん。

権力の放つ悪臭。愛が放つ甘美な香りと、合わせ持つ毒。それらに翻弄される人々。
その地獄絵図の中でも、己の心を強く保ち続けたオフィーリア。彼女の強さとは。常に己の心と大切にしたいモノを、迷うことなく見つめ続けることのできる魂。尊いよねん。

オフィーリアを、デイジー·リドリーさんが好演。"スター・ウォーズ"の時よりも、ハートの強さを感じた気がする。
クライヴ·オーウェン氏の悪っぷりもセクシーで堪らん。

悲劇の中で"悲劇のヒロイン"になるか。悲劇の中を泥塗れになりながらも生き抜く"貫く人"になるか。
同じ悲劇の中を生きるのであれば、僕は後者を選びたいよねん。そして、可能であれば…ずっと一緒に生きていける"愛"を大切にしたいよね。

悲劇は嫌いじゃないけど。悲劇な生き方はしたくないなぁ〜ん。

Cast(役者·キャラ) 3.5
Story(物語) 3.5
Architecture(構成) 3
Picture(画) 4
Acoustic (音) 3
22-469
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