かぴばる

オフィーリア 奪われた王国のかぴばるのレビュー・感想・評価

4.0
 シェイクスピアの傑作『ハムレット』を、ハムレットの恋人オフィーリアの視点で描写した二次創作。

 16世紀デンマークの風景や服飾だけで満点を差し上げたいが、いかんせん話がトロく感じた。ハムレットなんて先王が殺されてからが本番みたいな印象があるのに、そこまで小一時間もいらないでしょう(暴言)。

 あげく最後の10分ぐらいに怒涛の情報量を詰め込むし。オフィーリアの視点だから「あとは勝手にやってろ馬鹿どもが」という彼女の立場を表しての描写なのかもしれないが、夫と兄が無意味な決闘をしようとしていたら普通は死にものぐるいで止めるでしょ。原作では死んでたけど今はせっかく生きてんだからさ、というリアリティのなさが割合致命的に感じた。

 まぁでもね、ほんとお城とか田舎の修道院とか綺麗だから。それだけでほんと良い。それにしても、ミレイのオフィーリアの構図を踏襲するなら、惜しむらくはもっと透明度の高い綺麗な小川を使ってほしかった。なんだあの沼は。