囚人13号

Terror by Night(原題)の囚人13号のネタバレレビュー・内容・結末

Terror by Night(原題)(1946年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1939年〜1946年までFOXとユニバーサルで計14本製作されたシリーズ、時期を見て分かるように全て本邦未公開の幻のホームズ映画。

ホームズを悪役のイメージが強いベイジル・ラスボーン、少し間の抜けたワトスンを名バイプレーヤーのナイジェル・ブルースが好演。
第一作『バスカヴィル家の犬』、二作目の『シャーロック・ホームズの冒険』(おそらくこれがシリーズ最高傑作)、三作目『恐怖の声』はそれぞれ違う監督によって撮られている。その後の十一作はすべてロイ・ウィリアム・ニールが監督しているのだが、『殺しのドレス』完成後に彼が急死したためにシリーズも打ち切りとなってしまったらしい。

本シリーズの特色は戦争に突入してからホームズが現代に登場するようになることで、ゲシュタポに誘拐されていた科学者を救い出す『シークレット・ウェポン』、ナチスの女スパイと戦う『緑の女』などオリジナリティが強くて中々面白い。しかし舞台こそ十九世紀だけど完全オリジナルストーリーの『緋色の爪』がニール監督作では最高傑作かな。
本作『Terror by Night』は最後から数えて二作目にあたりで、ナチスやスパイは出てこない。
ある婦人のもつ国宝級ダイヤモンドを守るべく、ホームズとワトスンは彼女と同じ列車に乗り込み、それを狙っている犯人を見つけ出す列車モノだけどいつも通り安定してる。疾走中に外で敵と戦うシーンって分かってても緊張するし。

ニール監督は『バルカン超特急』を製作していたが撮影が長引いたためヒッチコックに途中交代させられたという経歴を持っている。おそらく序盤のちゃちなホテルのシーンを監督したのは彼だろう。撮れなかった列車内でのサスペンスを(ホームズしばりだが)ようやくここで演出できたのだから嬉しかっただろうなー。
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