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ブラック・レインのyksijokiのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
4.0
役者が豪華でとにかく良い。日本人の役者たちも端役ではなくてしっかりと中心キャストだし、マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアのアメリカ側のデカ達もしっかりかっこいい。高倉健の渋さと愚直で素直で文化の差を認めてる感じもとても良かったし、松田優作の遺作にもなってるだけあって松田優作の印象も素晴らしい。若くて勢いがありしきたりとかを無視してとにかく暴れる様と、部下たちを率いている感じがすごく良かった。

あとは大阪の街の撮り方がほんと凄い。リドリー・スコットはなんであんなに近未来的に日本の街を撮れるんだろうか。ライティングといい夜の大阪の街を本当にある場所なのにセットのように撮影していてとんでもなく良かった。繁華街の明るさと対照的に工場や裏路地をとんでもなく暗く撮っていてそれが本当に印象的だった。ブレードランナーみたい。そんな暗い大阪の街をバイクで疾走していく松田優作とマイケル・ダグラスがとても画になっていた。

あとは市場でうどんを食べるシーンがめちゃくちゃ良かった。あれもブレードランナーっぽい。箸の持ち方を教えてくるおばさんといい、ぐちゃぐちゃな箸使いでうどんを頬張るマイケル・ダグラスといいなんかわからんが画になるシーンだった。ラストの空港での高倉健とマイケル・ダグラスの七味のやり取りも含めて効いてた。

日本とアメリカの文化や主義の違いを描きつつ、タイトルのブラック・レインの由来というか起きてる事象に対する根本を指し示すシーンもセリフできちんと描くことでストーリーそのものの良し悪しとは違う落とし前がついてたと思う。集団、規律、チームの和を重んじる日本人とそんなもん知るかなアメリカ人と、あとはヤクザ文化としての暴力性や儀式礼儀というものを良きバランスで描いていたと思う。

所々での高倉健のセリフも刺さるものがあったし、高倉健とアンディ・ガルシアとの交流も良かった。「アメリカの刑事ならダサいネクタイはするな」と言って締めてたネクタイを高倉健にあげるシーンも良かったなぁ。

ラストの空港でのやり取りも男臭さと言語や文化を越えたリスペクトを感じてとても粋だった。

冒頭のバイクレースのシーンもあとからするとそういうカタルシスねという見せ方でとても良かった。


「あんたはどっちサイドに着くんだ」
「わたしは、わたしの側につく」

キャスト ☆☆☆☆☆4.5/5.0
ストーリー ☆☆☆☆3.3/5.0
演出☆☆☆☆3.5/5.0
音楽☆☆☆3.0/5.0
映像☆☆☆☆☆4.2/5.0
バイブス☆☆☆☆3.8/5.0
プロット☆☆☆☆3.7/5.0

全体☆☆☆☆ 4.0/5.0
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