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ブラック・レインのEDDIEのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
4.5
大阪に“黒い雨”が降る…NYで逮捕した殺害犯が日本移送中に逃亡。NY市警と大阪府警がタッグを組み逃亡犯を追う。マイケル・ダグラス、高倉健、松田優作らを揃え見事なオオサカノワールに仕上がった傑作。狂気たる松田優作の怪演を劇場で観られたことが大きな価値だ。

初見時の配信で観た時のTwitter感想が「素晴らしすぎた…。初見でしたが。にしても古めかしい昔っぽい劇伴だなと思いきや、音楽ハンス・ジマーだったのか。なんかっぽくない。笑」とありました。

撮影直後に松田優作が亡くなったこともあり、高倉健と同じシーンで共演した唯一の作品らしい。セリフはなし。なんと貴重な…。
まぁ俺はなぜかマイケル・ダグラスと高倉健が一緒にうどん啜ってるシーンで泣いたんだけど…なぜかはわかりません。

けど、二度目の鑑賞で間違いなく2人の絆の深さを再認識できましたし、ラストシーンにその絆の深さが全て詰まっているんですね。

また、二重構造のバディムービーとしても秀逸で、最初はニックとチャーリーの2人がバディとして動いており、後半はニックと正博がバディとして描かれていきます。
だから前半は主人公のニックの刑事としてのセンスとそれを支える最大の理解者チャーリーの2人に愛着が湧き、そのチャーリーに一つの悲劇が訪れた後からの日本を舞台にしたことによる大阪府警の正博との相互理解の深まり。キャラクタームービーとして実にお見事といえるストーリーテリングになってるんですね。

あとは何よりも松田優作演じる佐藤の存在。松田優作が主役ら主要キャストを軒並み喰うレベルでの怪演をしており、この映画を観れば松田優作という俳優を嫌でも認識することになります。本当に凄い。

銃撃やバイクチェイスなど、見応えあるアクションが盛りだくさんで、日本の大阪をロケ地として設定したことによる日本人としてのロケーションを楽しむという行為も一つの特権。
かつての阪急32番街など、大阪に住んだことある人であれば愛着ある場所が次々と出てくるのでそういった撮影場所も楽しみの一つとなりますね。

上映してくれた午前十時の映画祭には感謝感謝です。

〈キャスト〉
ニック・コンクリン(マイケル・ダグラス)
チャーリー・ビンセント(アンディ・ガルシア)
松本正博(高倉健)
ジョイス(ケイト・キャプショー)
佐藤浩史(松田優作)
大橋(神山繁)
オリヴァー(ジョン・スペンサー)
片山(ガッツ石松)
梨田(内田裕也)
吉本(國村隼)
菅井国雄(若山富三郎)
菅井の用心棒(安岡力也)
菅井の用心棒(プロフェッサー・タナカ)
菅井の子分(島木譲二)
佐藤の情婦(小野みゆき)
松本の息子(ケン・ケンセイ)
フランキー(ルイス・ガスマン)
クラウン(リチャード・リール)
大橋の部下(阿波地大輔、佐々五郎、伊吹太郎)
農夫に変装した刺客(アル・レオン)
手打ちの場のヤクザの組長(林彰太郎)
指詰めの刀を持ってくる組長(小幡利城)
ニックにうどんの食べ方を教える女性(津島道子)
橋の上のホームレス(田口哲)

※2023年劇場鑑賞
※2023年自宅鑑賞163本目(旧作のためこちらでカウント)
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