てつこてつ

クライシスのてつこてつのレビュー・感想・評価

クライシス(2021年製作の映画)
3.0
オピオイドという麻薬系鎮痛剤のアメリカでの薬害被害の問題については、この作品で初めて知った。

おとり捜査で麻薬密売組織と渡り合う麻薬取締捜査官、麻薬運搬役に勝手に仕立て上げられ殺された息子の復讐を誓う母親、自身が研究開発した薬剤が大手化学薬品企業によって販売されようとする中、重大な欠陥を見つけ告発しようとする大学教授・・彼ら三人が実質主役となり、それぞれの目線で物語が展開する脚本は、良く言えばとても丁寧。

が、その反面、タイトルやジャケ写のイメージとは反して、首尾一貫として盛り上がりに欠け、アクション要素もヒューマンドラマ要素も社会メッセージ要素もどれここれも中途半端に終わってしまった感が否めない。

三人のストーリーが別々に展開していくので、中盤まで正直かなり退屈。

実際にアメリカ社会を大きく揺るがした薬害事件を基にしており、せっかく、作品冒頭で'事実に基づいた=based on’ではなく、'事実から着想を得た=inspired by’と大きく謳っているのだから、もう少し派手派手しく盛り上がる話にしたほうが作品としては面白くなったと思う。

inspired by・・だからかと言って、あのラストに麻薬密輸組織の親分が殺される展開には、いくら何でも無理がある。

アーミー・ハマー、ゲイリー・オールドマン、エヴァンジェリン・リリー、グレッグ・キニアといったビッグネームをせっかく揃えているのに少々勿体ない。ミシェル・ロドリゲスの役どころはキャスティングミスとしか思えない。
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