ぐみ

劇場のぐみのネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

よくもまぁここまで露骨な男女を登場させた挙句にこの正反対なようで似てもいる2人が互いにのめり込んじゃう物語を思いついたもんだ。天才か!

永ちゃんが終始クズのように見えますが誰に何を言われようと永ちゃんは永ちゃん。振り切れるまでに一貫し過ぎちゃって更に不器用で素直じゃないときたもんだ。そりゃあの包容力に沼るわな。(でも光熱費は払いなさいよやっぱクズは否定できないな)
ここまで頑なに自我を通すかね、という男を一生懸命支えるサキちゃん。

包容力と臆病って似てるよねーと常日頃思ってますが、まさにサキちゃんはそれ。包容力のつもりで広げた両手は後ろに押し込んだ「我慢」を隠すかのよう。依存のリアル。

弱い事を認められない2人は互いに相手を頼らず主観で相手を想い、見事な両片思い。
でもお互いじゃないとだめなんだよね。なんならそのバランスがちょうど良かったのかもしれない。

自分を消すかのように永ちゃんを受け入れて尽くすサキちゃんの芯ってどこにあるんだろう。空気に流されてマイウェイ彼氏を否定し始めちゃうことにまた罪悪感で病む。なんていうか私はこのタイプ苦手。
永ちゃんが変わってたくさん喋るチャリのシーン1番好きだったかもなぁ。

流され体質と頑固な岩が共依存してる感じの映画。
向き合うべきものから目を逸らさないで、大切ならそんな甘え方・甘やかし方はしないで…思うことが沢山ある映画だったなぁ。

給料受け取れ!お前の価値だよ!と言われて抵抗していたのに給料を受け取り「立ってるだけの脳みそ」と叫ぶ演劇をぶちかます劇団の名前が「まだ死んでないよ」…だから天才かて。

この脚本書いた人天才すぎるわ!と思ったら原作又吉さんで衝撃。又吉さんてホントにすごいんだなぁ…。
ぐみ

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