どぅぐ

劇場のどぅぐのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
4.0
自分の才能を信じて疑わない脚本家(永田)とそんな彼を、天真に、そして健気に支えていく彼女(さきちゃん)の、苦悩と情動と牧歌に満ちたお話。

日の目を見ない自分に対する劣等感と、頭角を現し始めるライバルに対する嫉妬心(ルサンチマン)を抱く主人公の中に、
愛という大きな存在が介入すると、
どうしようなく必要なのに、とにかく遠くへ離れたいという相克した感情が沸き起こる。
これは何かを生み出す職業を志す者ならば、誰もが経験することだろうと思える。かく言う私も、似たような境遇に立ったことが少なからずあり、時折見せる主人公の突発的な行動には、正直、自分の過去を顧みずにはいられなかった。
これ以上、又吉に夢を燻る若者を書かせないでくれと願うばかりだが、はやく他の青年も見せてくれと叫ぶ自分がいる。相克した感情が、こんな所にも現れた。
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