Hotさんぴん茶

トスカーナの幸せレシピのHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

トスカーナの幸せレシピ(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

派手な作品ではなかったけど、良い映画だった。日常に溶け込むような、自然な雰囲気の作品だった。

グイドの夢を追う思い、まっすぐさが素敵だと思った。応援したくなった。
グイドの祖父祖母の温かい愛情も伝わって来て、ほのぼのとした。
グイドとアルトゥーロとの掛け合いも面白かった。
2人とも劇的に変わったわけではないが、人としてほんの少し前進していったのが良かった。

この作品は、綺麗事でない現実も描いていた。
グイドが想いを寄せる女の子は、グイドにいきなり迫られてかなり怖かったと思う。悪気がない故に心が痛い。しかし女の子目線からしたら、笑い事ではない。
途中サッカーを一緒にやってた若者たちもグイドに対し、変な雰囲気になっていた。これも物悲しいが、仕方ない。

グイドも周りの人も、どっちも悪気がない。だからこそ、この現状が心に刺さる。

実際、これは一筋縄ではいかない問題だろう。しかしひとまずは、お互いの状況を自分なりに学ぶことは重要だと思った。時に苦い想いを抱きながらも、一つ一つ理解して進むしかない。人間関係とはそういうものだと改めて思った。

このように一見王道かつサラッとしてるようで、実は現実を丁寧に切り取っていた映画だった。
少しモヤっとした気持ちが残ったのも、そのためだと思う。

エンタメ全開でスカッと楽しむ映画ではなかった。しかし、上のようなことを考えさせられた意味で、見て良かった。また、あまり料理風景は前面には出てこなかったけど、美味しそうな料理作ってるんだろうなと予想がついた。役者の表情が語っていたのだろうか。そういう料理への、ひたむきな情熱を感じた映画だった。

追記:
途中唐突にセクシーシーンが出て来てビックリした。見た当初このシーンって必要?って思ったんだけど。(それまでの穏やかな雰囲気が一変したので。)今思えばそのシーンの直後に現れた、グイドの恋愛に対する不器用さとの対比となる表現だったのかもしれない。恋愛における微妙な空気を読めるか、読めないかという。そう考えると余計切ない。