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霊幻道士3/キョンシーの七不思議のmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.8
これ『霊幻道士Ⅲ』。
個人的にはこのシリーズでダントツで面白い。
小学校の時に家にTVの録画がダビングしたVHSがあって、ホントにテープが擦り切れるまで観た。
映画を好きになったキッカケの1作品と言っても過言ではない。
つまり、自分の中では『バックトゥーザフューチャー』『ジュラシックパーク』『ハリーポッター』『アベンジャーズ』とかと同格になってる作品。

暇さえあれば家でこれ観てる小学生。
道士の身振りを真似してみたり、米をばら撒いてみたり、新聞のチラシを細く巻いて金銭剣を模したものを振り回してみたり、小銭に含まれる金属が邪気を払うと信じて投げてみたり、霊的なモノには鳥の血なのかと頷いてみたり、大きい筆を持ったフリしてドアにお札の呪文を書く素振りしてみたり、手持ち鏡を持って人に迫ってみたり、陰陽道特有の占星術的に板をグルグルして空を見上げてみたり。
挙げたらキリがない。
きっと、当時、親も頭がおかしくなったと心配してたと思う。

それぐらい面白い。とにかくハマってた。今でもあの道着が欲しい。

中国のやや田舎と思われる村落でのキョンシーと呪術使いと村民とキョンシー退治の道士のいざこざ、戦い。

コミカルにして、壺なり、米なり、お札なり、剣なり、鏡なり、位牌なり、傘なり、その他もろもろ今で言う“ガジェット”のオンパレード。

悪いキョンシーから気弱だけど良いキョンシー、キョンシーではないのにやたらと強靭な呪術使い、いちいちイタズラしたりトラブル作るひょうきんだけど立ち向かう勇気だけはやたらあって思想が偏ってる自警団連中、それらを冷静に掌握して動かして自らも確実に段取って武術と陰陽道で戦う道士、というバラエティ豊富なキャラクター。

清めた葉っぱを目に当てるとキョンシー見えるとか、ススを体に塗ると逆にキョンシーからは見えないとか、傘をグルグルしてキョンシーを出し入れとか、キョンシーが着る服は一回燃やすとか、キョンシーに後ろからカカトの下に足を入れられると取り憑かれるとか、手に負えないキョンシーは壺に封じて油で揚げるとか、金銭剣が刺さってるうちはキョンシーにならないとか、死体が裏を向いてるならまだ抑え込めるとか、とにかく面白い設定、ルールを巧妙に次から次へと使い込む。

今ほどまったくCG技術も編集、演出の特殊技術もないのに、ちょっとしたスローモーションとかピカピカ、バチバチ、着ぐるみ程度でホントにそれっぽく積み上げる。

エンターテインメントしてる。
この畳み掛ける出来事と、冷静だけど何かちょっもすっとぼけた道士と自警団の右往左往と、技の数々。それらをもろとも詰め込んで90分ちょっとで、引き込み、奇想天外なのにツッコミどころを与えず、全て回収する。

チャイニーズキョンシーホラーコメディとして完璧な作品。
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