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ラ・カチャダのぴのレビュー・感想・評価

ラ・カチャダ(2019年製作の映画)
4.0
『ラ・カチャダ』、エルサルバドルで小売をして生計を立てるシングルマザー5人が、演劇のWSを通じて、自身の経験やトラウマを舞台として創り上げていく過程を追ったドキュメンタリー。
劇団を立ち上げた5人、一人一人が DVや虐待、性的暴行、貧困によって心に傷を抱えている。
それをWSではインプロとして演劇に消化し、演出家が脚本を完成させていく。
「演じる」という事で、自己の中に存在する危うさ(暴力等の連鎖)やトラウマに向き合っていき、それを乗り越えていく。彼女たちにとっては演劇がある種セラピーのように作用する訳だが、一個人の経験を作品にするのは簡単ではない。
それでも彼女たちは、「演劇」を通して、人間の尊厳を取り戻していく。
その複雑さと彼女たちの心的変化をとてもリアルにとらえている。
悪の連鎖を断ち切る、その力を演劇が持つ。形はどうであれ、立ち向かい、結果を得る彼女たちの姿がとても美しくて、涙が出た。
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