わせ

雁の寺のわせのレビュー・感想・評価

雁の寺(1962年製作の映画)
3.5
お経がお経としてでなくBGMとして存在しているのが面白いし寺が舞台でないと出来ない演出。やはり煩悩は全てを狂わすのです。私事だけど、今年に仏教系の大学に入学して最近は毎週行われている礼拝に毎度参加しているのだけど、仏様に拝んでいるその時だけは俗世で起こった嫌なことも悩みごとも忘れられて、煩悩に苦しめられない時間がどれだけ人間にとって健全であるかを思い知らされた。しかしこの映画に出てくる僧は煩悩に塗れている。住職も然ることながら少年僧も煩悩に苦しめられた末に罪を犯す。だが終盤に犯した罪よりも、少年が短い生涯の中でひとり孤独の中で抱えていた懺悔の方がメインであって、その救いようのなさといったら⋯。 若尾文子が艶やかしい愛人を演じているだけで観る価値はあるが、官能サスペンスと言うには少々勿体ないくらいに話や演出もよかった。最後が斬新すぎる、びっくり。
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