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Mank/マンクのぴのレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
1.8

以下、みる前に必ず予習しておかなければならないこと。必ずです。
これが分からないと140分、ほぼ退屈になります。
(正直、『市民ケーン』は観ずとも、下記の項目は徹底的に調べておく必要があります)
・マンクの来歴
・マンクの家族の来歴、とくに弟ジョセフの来歴
・『市民ケーン』制作時のアメリカの情勢
・世界恐慌など、当時のアメリカの経済
・映画会社の概要と来歴、対立など(パラマウント、MGM、RKO、ハリウッド、ワーナー)
・共産主義、社会主義、ナチズム、共和党、民主党
・ルイスメイヤー、ジョンフォード、ウィリアム・ハースト、マリオンデイヴィスの関係


フィンチャーの新作、かつ、フィンチャーがやりたいことをやりたいようにやって、むざむざとその自己満足を見せつける映画。

しかし、決してその自己満足は、嫌味なものではない。
誰に対して作られた映画か分かりやすいからだ。アメリカという国と、映画についての教養がある人に対して、である。

映画というコンテンツは、教養がないとわからないものでないといけない、と私は思っている。
だからこそ、「その程度の知識もないくせに、オレの映画を見ようなんざ、片腹痛いわ!」というフィンチャーの意気込みと軽蔑を感じた。
ベクトルはノーランと似ている。しかし、フィンチャーの方が鬼気迫っているというか、教養のない者に対して、決して映画が楽しめない仕上がりになっている。
私は、映画どころか政治の教養もないので、メロス並みにフィンチャーに激怒するところだった。出直しだ。
しかし、これでいいのである。分からないものは置いていって欲しい。万人に受ける映画など、いったい何が面白いというのだ!
そういう意味では、ノーランとフィンチャーは似ている。


2011年以来だろうか。いやその後も何度かあったか?
ノーランとフィンチャーが同年に作品をリリースするのは。
今年は『TENET』vs『Mank』の年になるなと睨んでいたが、一般論的なエンタメ的には『Mank』は『TENET』に勝てないだろう。
そこが味噌だ。あくまでノーランは、"一般的な視聴者"を拾いつつも、"有識者"に振り切った作品を作った。
ただ、その要素を"有識者"に全振りしたのが『Mank』だ。今時、これほどまでに観る者を選ぶ映画は作れない。媚び、一切なしである。

評価は高い。しかし、私のスコアが低いのは、自分に対する喝である。そんなんとばっちりだ。
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