びこえもん

Mank/マンクのびこえもんのレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
3.7
1930〜40年代前半くらいのハリウッドについての造詣がないと分かりにくいという印象。作中でもメタ的に言及されてますが時系列をあちこち飛ばしまくるのもあって,一通り史実とか登場人物の基本を押さえてないと置いてけぼりを食らいやすい構成になっています。したがって,「なんとなくフィンチャーの最新作だから見よう〜」とかよりももっと"通"な人向けの作品という感じ……少なくとも『市民ケーン』は観てから観た方が分かりやすかったのかなという気がします。ここら辺は己の不勉強を感じました。

映像面は個人的には少々スベってる感がありました。昔のフィルム映画を意識して意図的にノイズとかを入れてるのはいいですが,解像度自体は今時の水準なだけになんかちょっとわざとらしく浮いてしまってるのが少し微妙。また,敢えて白黒とあって画面が色に頼れないぶん明暗によるコントラストに力を入れるのは分かりますが,正直やりすぎ感があり,なんだか薄暗い部分と眩しい部分が極端な映像になっているような……それとも当時のハリウッドではそういう見せ方が主流だったんですかね? フリッツ・ラングの『M』くらいしかこの時代の映画は観てないので(しかもハリウッドじゃない),分からないですが……