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Mank/マンクのkissenger800のレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
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大学生当時、一般教養の類として見た『大統領の陰謀』(1976)のかすかな記憶があったからこそ『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)を楽しめるんだなこれ。という認識があったので、トム・ハンクスとメリル・ストリープのエンディングを見た直後、間髪いれず再見したんですよ、ダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォードを。ほぼ30年ぶりに。
そしたらもう信じられないぐらい面白くて、2018年に見た映画183本から選ぶベスト10、って自分の覚書第5位に『大統領の陰謀』のほうがランクイン、てな個人的な思い出がありまして。
つまりこの『Mank マンク』(2020)を見た以上、これまた30数年ぶりに『市民ケーン』(1941)になだれ込むべきでは。それでようやくこのワンペアが完結するのでは。
というような感想ありつつ、同時に思ったのは、こういう前提知識を要する作品がハバをきかせるのって実は不健全だよな。ということでした。たしかにオスカーでも何部門か獲れてしまうんだろうけど、こういうのは功労賞部門に押し込めてしまうべきなんです。
おっさんどもが小声で隠微に楽しむべき作品であって、1年を象徴するとかなんとか、過度に持ち上げる向きがもしあれば、そういうのには「うっせぇわ」って言うほうが、絶対的に正しい。
フィンチャーにしてみれば私的な作品なんだろうけど、でも彼が手がけた瞬間に権威を帯びてしまうわけで……てなあたりのバランス感覚はスピルバーグに軍配上げたくなるけど、まあ個人的な好みにすぎないのかもな。
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