『市民ケーン』は知っていても、オーソン・ウェルズがそのとき弱冠24歳だったとか、脚本のクレジットでモメたとか、制作の舞台裏みたいな話はまったく知らなかったので、新鮮だった。
ただ、映画の制作秘話を題材にしているという前情報から私が想像した見心地とはだいぶ違っていた。どこまでもデヴィッド・フィンチャーの映画。面白いんだけど、彼の映画はいつも人が激しく相争うので、なんていうか、端的にいえば疲れる。撮影時には、アマンダ・サイフリッドがセリフのないシーンを200テイクもやらされたそうで、そういうのはやっぱり画面に出る。美意識が高くて緊張感のある画の連続なんだけど、肌がピリピリ小さく痛いような。それでも、スクリーンで見られてよかったとは思うんだけど。