上原正祐

Mank/マンクの上原正祐のネタバレレビュー・内容・結末

Mank/マンク(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

 なんだかあまり評価高くないから見ていなかったんだけど、フィンチャーでも一番の傑作かも。『市民ケーン』の裏側を、映像的にも。『市民ケーン』的に撮ってしまうというシンプルなアイデアが分からなければ、凡庸な映画に終わるんだろうけど、思えば、『ソーシャルネットワーク』がSNS時代の「市民ケーン」的映画で、続く『ドラゴンタトゥーの女』も同じような赤いバラ的な刹那で締めくくられる。
 フィンチャーっていう人は、やはり『セブン』とか『ファイトクラブ』のせいで、倒錯的な人に見られるんだろうけど、本質的にはガチガチにヘテロ的なというか、『ベンジャミンバトン』のようにメロドラマ的な人なんだと思う。だから、自分には、それが凄く合う監督。
 『市民ケーン』も『ソーシャルネットワーク』は結局話の中心は、単なるマクガフィンでしかないんだけど、本作はそれが映画と時代というのが据えられている、だから、単なる話を進められるためのマクガフィンではなく、赤いバラとしてのクレジットであり、映画、脚本そのものの話をしている…裏話的なものは好きではないが、本当は父親が書いた脚本を父親が生きているうちに撮りたかったというの話があっての本作であることは確かだと思う。(『ソーシャルネットワーク』よろしく実際と本作が乖離してるらしいけれど、そんなことは半分どうでもよく、映画は単なるフィクションでなく現実を救済するかのような…)
上原正祐

上原正祐