おもしれー映画を観た後はテンションがあがって何か欲しくなるんですけど、とりあえず至急ちょうどいい輪っか10個持ってきてくれませんか。
シム・リウの顔がいいんですよ。めちゃくちゃ平凡でいい奴そうな。
何も知らずに母と父の愛に囲まれた無垢な表情の幼年期・暗殺者として育てられた10代の頃の殺伐とした顔つきの少年期・別人のように穏やかな顔つきになった成年期。それぞれ違う俳優だけど、このあたりのビジュアルの変遷だけで彼の選んだ生き方や人柄を語らせてるのは本当キャスティングの妙だし、MCUの語り口のスマートさに舌鼓を打ちました。
そしてあえての凡庸さが逆に新鮮な主人公と対をなす、父ウェンウー演じるレジェンド俳優の過剰なまでのヒロイックな出立ち。この役はもうトニー・レオン以外ありえないってくらい惚れ惚れしました。広大なMCU世界において千年を生きてきたと言っても説得力がある深みと哀愁を感じる演技。この親子のビジュアルのギャップが父と息子の愛憎と相克の物語において対比としてめちゃくちゃ機能してるように思いました。
そしてこれやっぱり観る前は懸念のひとつだったんですが、カンフーがキャラクターの肝である以上アクションが面白くないと絶対ダメだったんですが、これがまた最初のバスのシーンから最高に面白かったんですよね。ツイ・ハークと思ってたらチャン・イーモウの武侠映画ぽい耽美で流麗なやつもくるし、果ては神話的なファンタジーアクションまでてんこ盛り。
同じく現実の人種差別やジェンダーギャップを反映したブレイクスルーなヒーローオリジンだった『ブラックパンサー』や『キャプテン・マーベル』にはアクションの面白さが致命的に無かったので『シャン・チー』のアクションには度肝を抜かれました。
本当にアジアンヘイトが横行する現代に現れるべくして現れたニューヒーロー爆誕で最高でしたわ。
観る前にシム・リウのルックスとやかくdisってた奴はみんな映画館でブチのめされてきてください。