悪魔の毒々クチビル

ソー:ラブ&サンダーの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
4.4
宇宙人もメロイックサインをするのです。


ソー、待望の新作。個人的には前作がかなり好きなので、ワイティティさん続投は嬉しいニュースでしたね。
いざ観てみるとオープニングのゴアというキャラのバックグラウンドや、序盤にソーがガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと別れる場面が取って付けたような適当さ満載で「あれどうした?」と不安になりました。
が、その後は前作同様にコメディ色強めの理想的なエンタメ作品らしさが満載で一安心。
まぁ他にも気になる所はあったんですけど、その引っ掛かりを物凄い量のギャグと派手なバトルシーンでカバーするという、パワータイプの作風はソーらしいっちゃらしい。

キャストに関しては、今まで特典映像の短編集にしか出てこなかったダリルがちゃっかり新アスガルドの住人になっていたり、前作からまさかの芝居トリオが続投していたり、ダーシーも出番があったりと脇役が好きなキャラ多くてニッコリ。
ただ前作のウォリアーズ3然り、今回はレディー・シフが1からソーと闘い続けた戦士にも関わらず微妙な扱いではあったかな。
クリヘムはもう、完全にソーって役柄を物にしていますね。
初登場の頃の傲慢かつ気高い雰囲気は自分の中で消化しきって、最近はコミカルな一面も取り入れて最初はそのキャラ付け大丈夫かなとも思いましたが、結果今の方が好きですし。
あと今作だと「エンドゲーム」の頃はすまんかったと言わんばかりに、身体つきがバキバキのムキムキで大変宜しかったです。
本人曰く「求められるなら何作でも演じたい」と言っている反面、「皆から辞めろと言われる前に辞めたい」とも発言していて、確かに同じキャラを同じ俳優が何度も演じる事は飽きと隣り合わせだと思いますが、それだけハマり役であるって訳でもあるのでね。俺はまだクリヘムのソーは観ていたいです。

新ソーのナタリー・ポートマンや戦闘を恋しがっているヴァルキリーも格好良かったです。
二人とも格好良くて華もあるし。
しかしながら今作で一番可愛いらしさを発揮していたのは、他でもないストームブレイカーだったりします。
ソーがムジョルニアと再会して未練がましい態度を取っているのに嫉妬(?)したのか、ジトーっと睨みをきかせるかのようにソーににじり寄ったりちゃんとビフロストを開いてあげない、みたいな可愛い一面を見せてくれます。
ソーとジェーンの関係性もね、そう来ますかと。途中何でムジョルニアが彼女を選んだのか疑問に思いましたが、最後まで観ると「そう言う事か」と納得出来ました。
ロキが不在なのもあってか、既存のキャラの新たな一面発掘や今後も暗躍しそうな新キャラで頑張って埋めていました。
ただラッセル・クロウのゼウスは何か……あまり嵌まらなかったですね。
作風に合わせてコミカルな雰囲気でしたが、もっと威厳のある風格の方が良かったのかな。

一方でヴィランのゴアはまぁ、うん。見た目は怖いけど、そんなに惹かれるものは無かったかな。
先にも言ったようにどうして神殺しになったのかという経緯が急ピッチで描かれていて、しっかり感情移入出来るようなキャラでも無かったですし。
寧ろ過去の出来事はどうあれ、もっと残虐性剥き出しにして欲しかったかな。チラチラそういう面もあるにはあったけど。
前作のヘラは単に自らの力でアスガルドの王に返り咲き、世界を支配するという目的の元に行動していくシンプルに凶悪なヴィランだった分、ムジョルニアを素手で破壊すると言った化け物じみた強さが際立っていて良かったんですよね。

あ、それとオープニングクレジットやエンドロールのフォント、使用曲がHR/HMでとても好みでした。
特にGuns N' Rosesは劇中でも曲は勿論、存在にもバンバン触れられていました。
まぁ俺としてはね、何処かでAmon Amarthの"Guardians of Asgaard"とか流してくれないかなって思っていたけどね、無理か。
取り敢えず初見の印象だと前作の方が好きですが、今作も充分に楽しめるクオリティでした。
観に行ったみんな、きっと帰りにBlind Guardianの"Valhalla"が聴きたくなっているだろうから遠慮なく聴こうな!Heaven Shall Burnのカバーver.もクソ格好良いからそっちでも良いぞ!!